雑魚

あなたが言った

"ただいま"と

菜箸を手に

出迎えた

鍋の中では

もやしが踊った

あなたの足で

床が軋んだ


茹だる夏の夜

タンクトップで

茶碗片手に

テレビを見た

16インチの

向こう側で

巻き起こった

笑いの渦に

胸が痛んだ


伝説になろう

僕らでさ

保証はないけど

約束しよう

誰も解ってくれずとも

六畳間だけが

世界だった


口にせずとも

味のわかる

カップ麺を

口へ運ぶ

それだけで

満たされていた

失うものも

もうなかった


もし本当に

神様がいて

僕のことを

見てるなら

欲しいものなら

自分でつかむ

あいつだけは

奪わないで


不安はいつも

ついてきて

僕らのそばに

あるけれど

死ぬよりは怖くないさ

夜明けまで

夢を語ろう


伝説になろう

僕らでさ

保証はないけど

約束しよう

誰も解ってくれずとも

六畳間だけが

世界だった


何が起こるか

分からない

明日だから

期待もする

最悪な日も

あなたが言った

"ただいま"で

すべて解けて

希望になる

インゲン

1996年生まれ。作詞家を志してからというもの、架空の歌詞を書いています。

歌のない歌詞