panopticon

卒アルに火をつけて

舞う煤の中泣いていた

可哀想って言葉なしに

誰が愛してくれるの


SNSの通知だけ

宝物のように見えていた

たった一つの同情が

無ければ生きてはいけないの


こんな弱くてごめんね

面会室で笑った

ガラスの向こうに

誰もいないまま


ここはパノプティコン

間違ったら叱ってね

そうやって進む毎日を

愛していると嘘を吐いた

ここはパノプティコン

見張ったままでいてね

暗闇から覗いた目が

あれば寂しくないの

愛されたい愛されたい

ただそれだけで


夕飯を吐き出して

一人の部屋で笑っていた

可哀想って言ってよ

愛されてると思いたい


奇抜な服を纏って

集まる視線ありがとね

変わり者でしょ私

それでも愛してくれますか


こんな不細工だったっけ

鏡の前で笑った

心の真ん中に

誰もいないまま


ここはパノプティコン

正しくいられなくて

こんなままじゃ死んじゃうから

ひどい言葉で正して

ここはパノプティコン

時々怖くなって

逃げ出してしまった時は

首の鎖を引いて

独りが怖い独りが怖い

ただそれだけで


あー生まれつきだからしょうがない

あー長年の癖で抜けない

あー優しくいたいだけです

あーあの人のせいです私は悪くない!


ここはパノプティコン

間違ったら叱ってね

そうやって進む毎日を

愛していると嘘を吐いた

ここはパノプティコン

見張ったままでいてね

暗闇から覗いた目が

あれば寂しくないの


愛されたい愛されたい

ただそれだけで

上ってきた長い階段

今更下りれない

独りが怖い独りが怖い

ただそれだけで

ガラス板に映る人を

見張っていたいだけ

インゲン

1996年生まれ。作詞家を志してからというもの、架空の歌詞を書いています。

歌のない歌詞