病床

風が冷たかった

川沿いの散歩道

踏み込んだ枯葉が

カシリとばらけた


君が立ち止まって

眺めていた送電塔

こんな日はきっと

もう来ないとわかった


螺旋階段の

上の方で声がする

「寂しくなるなあ」

そんなふうに聞こえた


お腹が空いたねと

笑うその時間だけで

愛していること

きっと通わせ合った


思い出す顔が

いつでも笑っていること

ありがとうと伝えたら

また笑ってくれるかな


あの散歩道

緩やかな坂道の向こう

そこで待っていて

風が吹いて

その手を握って

そこで終わる夢で

また会いましょう

インゲン

1996年生まれ。作詞家を志してからというもの、架空の歌詞を書いています。

歌のない歌詞