片道
思えばどれも
戻れぬ道だった
温もりを置き去りに
旅をした
焦げ付く思い出
今も美しく
選ばなかった夢は
より遠く
そしてまたもう一枚
握らされた片道のチケット
行先の書いていない
真新しいそれが
汗でふやける頃
もう何度目か、胸に問う
君はどうしたい?
いるはずのない
優しい母の声
自分の名前を呼んだ気がした
振り返る道には
アスファルトだけ
「ありがとう」と唱 え
また進みだす
そしてまたもう一枚
握らされた片道のチケット
こんな自分のままじゃだめと
呟いたきり深い眠りの中
優しい夢を見るのでしょう
どうか幸あれ
今日限りの景色より
わかりもしない未来が見たい
なんと愚かで堅実だろう
僕たちは
あの日歌った歌
ともに見た夕日
夕飯のひとさじ
もしも叶うなら
あの優しい日々を
もう一度
聞こえているかい
あの日の僕
握らされた片道のチケット
不安そうな目
優しい君なら
どこでも大丈夫
だから、最後に聞かせて
君はどうしたい?
ほんとうはいつも
幸せは君のすぐそばに
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