2021.09.12 12:19猛火陽炎の向こう 確かに見たんだ 今より少し歳をとった僕赤信号の向こう側 自信と優しさ纏って 笑っていた 蜘蛛の糸のように ふとした瞬間に 絡みつく不安を 振りほどけずにいた なりたかったような 自分じゃないことを 良しとしないことだけ 約束にして 焦(じ)れる心と 陽炎の声が まだ...
2021.09.12 12:05小春胸が騒ぐ夏の朝と街が光る冬の夜の間にふと浮かぶ今日に繋いだ指ひしめくその風に触れたとき終わりの匂いがした最期の時を初めて描いたしわがれたあなたの姿でいつか貰ったキキョウの鉢植水をやる朝空がいつも眩しかったことを知るきっともう戻れないなあなたを知る前の日々には満ち足りたグラスを溢れ...
2021.09.12 07:36悪魔背負ったリュックを少し下ろして座った道の途中確かに心臓は動いてる旅はまだ続く掴んだ砂の温かさも青空行く鳥の声も今はわかるよ柔い空気を吸う棄てるにはあまりに惜しい温もりを知ったそれでも進めと囁く悪魔が笑っていたのは鏡の向こう眠った私を覚ます雨粒忘れた進む方角このまま泥に溶けるように...
2021.09.12 07:34月夜絶え間ない日常の砂嵐それが突然止むようにあなたが生き終えたとそんな電話で全て弾けた思い出振り返るとあまりに温かく信じ難く身に余る幸福にただ今は気づくだけありがとう この言葉さえあなたに届けばいいと思うありがとう この気持ちだけ今はただそれだけの音もない風もない夜こんなに悲しい夜な...
2021.09.12 07:29どんな夜より「一歩ずつ進めばいい」その一歩が次第に重たくなり始めて立ち尽くしてしまうの目を閉じれば聞こえる君の懐かしい声風の音に混じってエールを叫んでいる12時 消える魔法も無い失うものは無い小さなこの体ひとつで助走つけさあ飛ぼう 飛ぼう 飛ぼう水面弾いて重力の外へ行こう 行こう 行こう夜を...
2021.09.12 07:25戦う仲間大きな夢を僕らで見て修羅へと笑顔で踏み入れた今ひとつで終わった日にベッドに沈む僕の手を握るたくさんの命0と1でできた命に心が届くとするならばごめんねと言わせてそしてまた何度でも本気で遊ぶことだけをガンガン進め風切って擦りむく時も思い切り急所に至る傷だって温い血吐いて立ち上がる得意...
2021.09.12 07:10おばけ食堂猫は逃げる隘路に笑う影を行く皐月晴れ気もそぞろそれよか行こう鈴の音と君が誘うだ だだ だだ誰もいない回廊の路地あ はは まだお子様には早いぜレィディほら手を叩け!おばけは誰君は招かれたどうだっけ?お酒飲まれ風任せ馬鹿だねあっかんべー茜の窓シケた品書きをよく食んで舌で撫ぜる衣と虚ほ...
2021.09.12 07:08ハレハレ終わってしまったパーティ平皿 残ったスナックソファにかけてつまんだおいしさ控えめ そりゃそうかハレハレハレでは疲れるからたまにはさ僕だけでいつも通りの一日でもいつもより踊ったろうかハレケケケハレハレケケハレケイェーイいいじゃん。アップエンダウンハレケケケハレハレケケハレケイェーイ...
2021.09.12 07:07ねえ、テセウス背筋の凍る奈落からやってきました遥か底で幸せだねと笑っていましたダークな音楽だけが理解者骨を伝って黒い煙は身体の中へ懐かしいねえ、テセウス私は今も私脱ぎ捨てた脆い皮を抱きしめているねえ、あの日もほんとうは強い人で誰も気づかない場所眠っていたの振り返れば一瞬でも確かに鍋の底は焦げ付...
2021.09.01 12:38ディープグリーン飼っていた金魚が腹を上に浮かんでいた涙一つ流せない自分に泣いていたおばあちゃんに貰った千円のお小遣いその日のうちに使い切っていたその延長線上まだ 息をするネクタイを少し緩める夕日が照らす側溝の泥綺麗に見えて仕方がなくてそれでもまだ世界は僕を諦めてくれない底なしの愛が痛いでも離した...